【稽古録】2017/10/13 理想の指導とは
少林寺拳法の指導での事。
高校生の男の子が初段、黒帯を受験する。実は、今回、4回目。正直、こんなにも落ちない。それは私の指導力不足ではあるのだけど、本人に本気になってもらわないとやはり、受からない。
しかし、中には適当だったとしても受かってしまう時もある。実は私はそんな感じだった。よくわからず、ガンガン厳しく指導された。そういう時代だったのだ。
その結果、黒帯を取ったがもともと、強さを求めて少林寺拳法を始めたわけではない。父親が先生だったから、いつのまにか、だ。
だからだろう、黒帯をとってもそれは自信へとつながらなかった。
初段でダメなら二段、三段、四段ならどうだ、と目指してもいい。しかし、私はいくら段位を重ねてもダメだった。出来る出来ないが武術武道ははっきりするからだ。
そんな私が指導するのだ。ただ、段位をとるだけの指導はやはりできなかった。段位を目指す道からすると寄り道だったと思うが、身体の使い方を小学生の頃からずっと、教えてきた。それも、強制は全くさせず、ただ、その時、自分が一番驚き、興味があった事を伝えてきた。
もしかしたらそれは、こんな便利な時代ではほとんど役に立たないものかもしれない。しかし、人生というのは平たんではないはず。その人生を進む乗り物はたくさんできたが、どんなアクシデントがあるかわからない。便利な乗り物を降りて自分の脚で歩きたくなることがあるかもしれない。くるかどうかわからないそんな時のために身体のすごさを伝えてきた。
四回目の受験をする彼は実は凄い。少林寺拳法は義務ではない。三回も失敗すれば辞めたくなってもおかしくない。実際、そういう子も多かった。武道なのに、たくさんの「学科」の勉強をしてテストを受けなくてはいけない。気持ちはわかる(笑)。
しかし、彼はチャレンジを続ける。一緒に稽古をしてきた仲間は先月合格した。それがまた、刺激になったと思う。初めて彼から悔しい、という言葉を聞いたのだ。
試験は日曜日。自分の事以上にドキドキする。しかし、この「ドキドキしているのが私」なのだ。これは、私の稽古(笑)。
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