【稽古録】2017/11/02 「わからない」と「ロスト」
半年ほど前から予定を作ってきたヨガ教師の方との稽古を三日間終えた。次は来週、二日間。改めて、普段、言葉に助けられているのを感じた。
そして、普段日本語が使える同士だと言葉に頼って感覚そのものを見る事から離れていた事もわかった。
言葉が通じない者同士の場合、頼りになるのは感覚になる。伝えたい感覚があって、それを向こうが受け取った時、そこに安心が生まれるのか、こちらにも伝わってくる。
一応私は教える側、先生の側だけど、やっぱり、たくさんのものを受け取らせてもらった。
そしてもう一つ、良い集中ができる稽古を続けて行う事のメリットも見つけた。
新しいものと出会うと反射的に拒否反応がでる。どれだけ頭が受け入れる、と命令しても、身体はどうしてもそれまでの使い方にこだわる。
頭は一度聞いたことをそれだけでわかった、と言いがちだ。
しかし、実際に身体を通してそれを試してみるとそれまでと変わっていない事が多い。
武術はそれをアリアリと見せてくれる。
しかし、スポーツ武道、組織武道が進むと厳しい試しあいはなくなる。どうしたって組織維持、ルールが一番になっていくからだ。
この三日間の稽古はずっと試しあい。
言葉が不自由なので、やって見せるしかない。そして、それを盗んでもらう。そして、私がそれを抑える側に。ダメな時には何度やってもダメ。しかし、うまく行った時にはお互いの身体が滑らかに動き、出来た、と分かる。
今回の稽古で一つ印象的な言葉があった。
それは「ロスト」という言葉。
彼女が技を試す。一度つかんだと思えた動きもやはり再現性の問題で出来ない時もある。
その時彼女は「ロスト」という。「出来ない」、「分からない」のではなく、「見失った」のだ。
これは観念的には凄い事で、なにかが「ある」という事は完璧に受け入れている事になる。ただ、見失ったのだ。
私なんかはついつい、できない、わからない、と人からの教えを捨ててしまう。だからこそ、自分の世界に没頭できたとも言えるが、せっかく教えてくれる人に出会えたのだからもう少し自分を信じて追ってもよかったなぁ、と。
そしてその時、使う言葉が「見失った」と使えればきっと、追い求めやすかったはず。
この「ロスト」という言葉を使う事をみんなに教えたい、と思った。
残りの稽古は来週から二日間。間を少し開けるのだからきっと、彼女の中にも疑問がでてくるだろう。楽しみだ。
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